キュレーションをビジネスに取り入れたいと思っている人は読まなければならない本!『本の声を聴け』書評

TSUTAYA TOKYO ROPPONGIという書店を知ってますか?

この洗練された書店は、今までとは全く違うコンセプトで本を売って、今や伝説の書店と言われている店です。
このお店がなにより大事にしているのが、「本棚の編集」。
普通の本屋ですと、政治・文学とかノンフィクション・文庫本とかの分け方で本が並んでいますね。
ところがこの本屋の分類は、「恋」とか「美味しいもの」とか「冒険」とか「自然」などです。

それをやったのがこの『本の声を聴け』の主人公、幅允孝です。
このTSUTAYA TOKYO ROPPONGIに来る客が何を求めているかというと、思いがけない本との偶然の出会いだといいます。
幅はこの出会いのことを「幸福な事故」と呼んでいます。
現代はあらゆる情報に溢れていて、それを羅列するだけでは付加価値がつかない時代です。
そんな情報過多な現代では、組合せの妙で他と差がつくと幅は言います。

【送料無料】本の声を聴け [ 高瀬毅 ]

【送料無料】本の声を聴け [ 高瀬毅 ]
価格:1,943円(税込、送料込)

彼の仕事を紹介したのがこの本です。
彼はブックディレクターという職業で、本屋だけではなく、カフェ、インテリアショップ、空港、美術館、ホテル、美容院、銀行などで本棚を作っています。
幅に依頼するのは、ブランド価値を高めたり、他企業との差別化や新しいことへのチャレンジのためにということです。

ところで本棚の編集とは何かというと、今までとは違った切り口で本棚を作ることです。
それは、単体のものと単体のものを組み合わせて、あらたな豊かな時空を作ることです。
幅の仕事はキュレーションに似ているといわれます。 
キュレーションとは、ある視点で情報を集めて分析し、それらをつなぎ合わせて一つの価値を持つものとして共有することです。
キュレーションとかキュレーターって言葉は最近よく耳にしますよね。
NAVERまとめはキュレーションを謳っておりますし、新しいサービスではGunosyなんかも注目されています。
キュレーションはこれからどんどん重要になってくると思われます。
ネットだけではなく、ビジネス全般にわたって必要になってくる概念ではないでしょうか。

なのでこの『本の声を聴け』はビジネスをする全ての人にとってとても参考になる本です
自分もすぐにでも自分のビジネスの参考にしようと思います!
あと、最近僕が始めたブログとか、ネットビジネスをするにあたっても参考になりますね。

『目的性』と『偶然性』
このふたつのキーワードは、幅の仕事の内容を知るのにもってこいの言葉です。
例えば、普通の大型書店とかアマゾンを目的性の書店とします。
客が欲しい本をピンポイントで提供するからです。
対して幅の編集した本棚を偶然性の本棚とします。
客の目的の本の周りには、幅がチョイスした様々な本が並んでいます。
そこには客が思いもしないような、ここで会わなければ一生出会わないような本と出会うことができます。
この偶然性がこれからの時代には求めれるのかもしれません。
そして偶然性のことを幅は「幸福な事故」と呼んでいます。

ここからは、この本を読んでいて、ビジネスに使えると感じたところをいくつか抜き出してみることにします。

  • 美容室にライブラリを作ると差別化できる

 美容室に来るお客というのは、非日常的な美しいものに興味があります。
 京都の美、上質な器、着物、食についての本を置くと客を豊かな気持ちにさせ、美容室の格があがるということです。
 美容室だけでなく小売店などでも、顧客が直接求めているものでなくても、その人たちの好みに合わせて情報を提供することで満足感が高まるということですね。

  • 銀行のライブラリに夢、環境、お金に関する本を置く

 銀行のサービスというのは手段であり、どこでも同じようなことをしています。
 これからは銀行も独自の価値、役割を作っていかなければ生き残れません。
 スルガ銀行では『〈夢をかたちに〉する、〈夢に日付を入れる〉お手伝い』をミッションとしています。
 それを端的に表すのが幅の作ったライブラリであり、ロビーでここの銀行はちょっと違うよねって感じることができます。

 普通の書店ですと、1Q84の周りにはだいたい村上春樹の他の作品や、村上龍の作品などがありますよね。
 幅の場合だと、1Q84の近くには、この小説に登場したプルーストの作品や、ヤナーチェクのCDを置きます。

  • 棚の分類を「恋と愛の話」「女の生き様」「男の生き様」「運動しよう」「よのなか」「家の中のもの」「アメリカという国」「旅に出よう」「身近に科学」「いろいろ考える」「歴史好き」「家族とわたし働こうかな」にする

 棚の分類をふだんと違う並べ方にすることで、棚に動きがでて面白みがでます。
 雑貨やさんとか、たくさんの商品を扱う店舗でも使えそうですね。

  • TSUTAYA TOKYO ROPPONGIの客単価は普通の本屋の4倍

 並べ方でここまで大きく客単価が違うとは驚きですね。
 是非自分のところでも導入してみたいです。

  • 重厚な棚をポップに、ポップな棚を漢字で

 意外性が大切ということです。
 どうしても統一感を出したくて重厚なものの横には重厚なものを置いてしまいますよね。

  • 高尚なものの横にべたなものを置く 

 今まで高尚だとか低俗だとかヒエラルキーがあったようなものでも、これからは等価値になっていくということです。
 これからは価値の階層という権威みたいなものでは心が動かない。その人にとってそれが面白いかどうか。快か不快か。役に立つかどうかが重要。※引用
 このへんはヴィレッジヴァンガードが得意とするところですね。

 一見無関係なマグカップの横に小説を置く。
 その小説の中にはコーヒーをマグカップで飲むシーンがたくさんでてきます。
 マグカップと小説を並べることで、小説の広い世界がそこに誕生します。
 時空が生まれ、そのマグカップは豊かになる。
 物は単体でそこにあるだけでは一つのものに過ぎない。本もまた同じだ。しかし、それを組み合わせることで、点と点がつながり、豊かな時空が生まれる。※引用


次に、これはブログを作るのに参考になるなと思ったところをいくつか載せます。
ブログにも目的性と偶然性は当てはまると思います。
目的性は、キーワードを絞ってピンポインで検索する人のためのブログ。
偶然性は、自分の意見を書いているブロガーのブログ。
なので、ここでは情報提供型のブログではなく、なにかしら自分の価値観を記事に織り交ぜるタイプのブログを書いている人に役立つであろう情報を書いてみます。

  • 自分の好きな本を持って行ってもおせっかいにしかならない。

 記事を書くのに、自分の興味のあることだけを書いて読み手のことを考えないと、なかなか読んでもらえません。
 幅は下調べをきちんとし、クライアントと徹底的に話し、顧客の架空の人物像を作り上げます。
 読まれるブログを作る際にも、この記事をどんな人が読むのか細かく想定するとうまくいきそうです。

 ブログも世に溢れていて、コピペブログや転載ばかりのブログも腐るほどあります。
 以前ならアフィリエイトをするには効率がよかったのかもしれませんが、ほとんどの人は貼り付けただけのブログにうんざりしています。
 やはり労を惜しまず、自分の言葉で書いた文章というのは人の心を打つものだと思います。
 自分の言葉で、かつ読む人のことを考えた文章というのが求められているのではないでしょうか。

 

  • 書評ブログのジャンル分けも、意外なものすると面白そう

 よくある書評のジャンル分けといえば、ノンフィクション・自己啓発など既存の分け方ですよね。
 これを幅に習って、恋とか美味しいものとか宇宙とか、日常生活に密着したジャンル分けにすると、読む側も、おや?これにはどんな本のことが書いてあるんだ?って興味 をひかれると思います。
 書評だけでなく、どんなブログを書いていたとしても、人に興味を抱かせるジャンル分けにすることで読み手をよりワクワクさせられそうです。

  • あえて意外なものの組み合わせにしてみる。

 堅いと思われているものと、低俗を思われているものの意外な共通点などを見つけて文章にしたら、とても興味深く読めます。
 例えば高尚なものと思われている政治と、ベタなモノと思われているアイドルの話題などを組み合わせる。
 あ、それってAKBがすでに大々的にやってますね。

 

 アフィリエイトは基本的にジャンルを絞ってSEOをします。
 しかし儲かるキーワードはすでに強力なライバルが存在して、自分が入る余地がなさそうです。
 ここでキーワードの連想が役立ちます。
 例えば「引っ越し」というキーワードを使いたい時、引っ越ししたらたいていネットの申し込みをするというように連想します。なので「引っ越し」「インターネット回線」をキーワードにするのです。
 

この本はブックディレクターについて書かれた本ですが、あらゆるビジネスのヒントが書かれていると思います。
読んでみることをオススメします。